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能面について


能面は室町時代初期、世阿弥の時代には14種類ほどしかありませんでした。固有名詞もつかず、ただ「かおのほそきぜうのめん」などと表現されている面もあります。それが、室町時代末期には約60種類ほどに増えています。そして、やはり固有名詞になるまで様式化できていない「顔ばえ気高く痩せたる女」「少し賊しく痩せたる女」などの表現に留まっている面もたくさんあったようです。この時代に、能面の基本型がほぼできたと言われています。そして又、類型の細分化も始まっていたといえると思われます。その後、能は江戸時代に幕府式楽となり大いに栄え、能面の数もまた飛躍的に増加し、世襲制の面打ちの家が出来るなどして、大量に作られてゆきました。その過程の中で様式化し「写し」という模作が数多く作られます。類型の細分化も進み様々な類型面が創作され、種類も大きく増加して、現在約250種の能面が伝えられています。能面は、このような長い歴史を経て、無駄の無いもっとも舞台で効果的な表情とバランスを得ているのです。その様式は写実的要素(皺や筋肉などの造形)・舞台効果的要素(目が「テル」「クモル」というように角度によって変化する、口も薄く開け、しかも受けくちにしてあるのでやはり角度によって変化をするなど)・分類的要素(髪の毛描きの本数や、金や朱の有無など。)の三つの要素で成り立っているように思われます。また、能面は新作の面でも如何にも古く見えるように作られています。これは「古色」といって舞台で能面の表情がよりよく見えるために陰影づけであり、能に使用される為には不可欠なものです。

                                     天神

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